中学2年生の化学学習について

中学2年生の化学学習について

 当方は、高校の時、化学に欺瞞を感じ、それ以降は現在に至るまで極力回避をして過ごしてきました。もちろん、指導教官が好きではなかったと言うわけでなく、授業も真面目に聞いていました。参考書や教科書も読んで、自習も行いましたが、点数が取れても何も根本的にわからないという状態に嫌気がさしたのです。

 まさに今、化学を回避できず、中学の化学から順を追って考えていますが、若かりし時代の自分が化学結合に存する曖昧さで、つまずいたことが判明しました。化学結合の種類は、おおまかには、分子(共有)結合,イオン結合,金属結合,ファンデルワールス結合(中高では必要ない)があります。高校では材料ごとの個別に話を聞いて、その相関関係をまったく論じなかったという感想ですが、いかんせん昔のことで多少の記憶違いはお許しください。関連性の具体例は、共有結合といえば、当方はSiウェハーやダイヤモンド、グラファイトを思い浮かべますが、分子内部の結合もほぼ共有結合という認識を持つことで、化学が1段階も2段回もフレンドリーに感じられるようになるのです。

 次に、化学式ですが、基本的な点では、化学式と化学反応式を勘違いし易いのです。実は、当方も混同して使っていました。また、化学式は物質名の代替えであると理解してもらわないといけません。そして、化学式には何種類かあり、主なものである組成式と分子式を中学では学習することを宣言しないといけません。そして、組成式表示しかできない結合形態と分子式も使える物質の違いを身に付けさせることが大切です。

 また、元素記号と化学式の違いが身に付いておらず、元素記号のNを見て窒素ガス(N2)を想像しだして化学はドロップアウトという悲劇は、頻繁に起こっていると思います。これ、真面目に勉強している人でも、十分に起こりうることで、こう言った事態は極力避けなくてはなりません。 

 と言ったわけで、今回は自称物理屋さんの当方が、自分が化学で落ちこぼれた軌跡を辿る辛〜い辛〜い旅でした。本当に献身的な授業をしてくださる先生も多いのですが、他方では実力不足な教員(理科は分野が広いから致し方ないところもあります。)や悪質な教員による質の低い授業も散見されます。これらを防止するために、指導要領の改良は急務だと思います。なぜ落ちこぼれが出てしまうのか?落ちこぼれた人の意見に耳を傾けていただけたら幸いです。

 まずは、中学理科指導要領の化学分野に目を通した感想を次の1〜9に列挙します。


1年生では、溶解度と再結晶の学習が移行ではなく無くなっていますが、言葉自体も学習しないことになるようで、非常に問題です。これは是非復活させなければなりません。

1年生では、水溶液から発生する気体の収集等の実験を行い、実験器具の使用を習うのですが、これが化学反応であるという認識だけはきちんと持たせるようにすると、2年生での化学の導入が楽になり、中2では原子構造から授業ができるでしょう。ただし、燃焼が酸化の一種であることを身につけるためには、1年で中途半端に燃焼に深入りを避け、2年で酸化還元と一緒に学ぶことは非常に有益だと思います。

中学2年 理科指導要領の化学分野の目標と内容に目を通しましたが、羅列された内容に不足が多少あることはさることながら、順序が入り乱れていて、受講した生徒の頭の中にすんなりと入らないといった印象があります。

原子と元素の違いを中学2年化学に盛り込んでみた方がいいと思われます。

中学2年化学では、分子を導入するので、化学式には分子式と組成式があることも盛り込んだ方がいいと思います。

3年生では、イオンを導入し、酸とアルカリの化学反応と電池の原理を学ぶことになっています。ここは、個別に見ておりません。ただし、中学2年のカリキュラムで原子の構造(原子核(陽子+中性子)+軌道電子)が目標と内容に含まれないのは致命的です。軌道電子が化学的性質を決めること、そして原子の集合の種類;結晶と分子とアモルファスについては、物質の特徴として学習内容に盛り込むべきでしょう。

分子を作る原因は原子の軌道電子が混成して安定状態になるという定性的な説明も盛り込みましょう。

さらに2年性化学の目標と内容は理解しづらい配置なので、教諭がこれに沿って個別の工夫を凝らさず授業を行なった場合、3年生の酸とアルカリの学習はほぼ理解出来ないでしょう。

今回、中学2年化学分野を記述するにあたり、「中学校理科学習指導要領進級対応表」(https://www.shinko-keirin.co.jp/keirinkan/chu/science/point-guidance/pdf/rika.pdfさんより)を参考にして、変更を推奨したい部分を下線で記し 赤字で変更案を記した記述を、下記に載せますので、教育関係者の皆様は ぜひご一読いただければ幸いです。


*****
中2化学分野(第一分野)変更推奨部分 p. 7 (下の方)〜 p. 8 改定後 の引用を含む。
*******

(4) 化学変化と原子・分子 → 「原子・分子から見る化学変化」

大極目標 ア.
化学変化についての観察,実験などを通して,次の事項を身 に付けることができるよう指導する。

化学変化を原子や分子のモデルと関連付けながら,次 のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに 関する技能を身に付けること。 
原子や分子というミクロな立場から化学変化を理解し、原子の構造、原子記号を用いた物質の表記、純物質と混合物と化合物と単体の分類を身につける。さらに化学変化の実験を行い、それらの観察,実験などに 関する技能を身に付ける。


(ア)物質の成り立ち  →このままで良いと思います。

   {ア} 物質の分解→云々  {ア}と{イ}から項目を増やし 下記のように{ア}〜{オ}にします。


  {イ}原子・分子 → 云々

{ア} 混合物と純粋な物質(§A-1)

{イ} 原子(§A-2) 
原子の導入(§A-2-1 原子)
原子構造(§A-2-2 原子構造)
元素記号(§A-2-3 元素記号)

{ウ} 原子の結合(§A-2)
結晶(§A-3-1 固体では)
分子(§A-3-2 分子)

{エ} 単体と化合物(§A-4)

{オ} 化学式と物質名(§A-5)
分子式と組成式
( )内は本書のテキストのセクションを示す。混合物と化合物と単体の分類を身につける。さらに化学変化の実験を行い、それらの観察,実験などに 関する技能を身に付ける。      

(イ)化学変化 (§B-1)

{ア} 化学変化  → 「分解と化合の化学変化」(§B-1-1)

2種類の物質を化合させる実験と、1種類の物質を化学分解する実験を行い,反応前と は異なる物質が生成することを見いだして理解するとともに,化学変化は原子や分子のモデルで説明 できること,化合物の組成は化学式で表されること 及び化学変化は化学反応式で表されることを理解 すること。

{イ} 化学変化における酸化と還元  → 「酸化と還元」(§B-1-2)

金属の燃焼実験を行い,反応前と は異なる物質が生成することを見いだして理解す るとともに,化学変化は原子や分子のモデルで説明 できること,化合物の組成は化学式で表されること 及び化学変化は化学反応式で表されることを理解 すること。

酸化や還元の実験を行い,酸化や還元は酸素が関係する反応であることを見いだして理解すること。また、これまでに取り上げた実験が、化合になるのか分解になるのか理解をすること。


{ウ} 化学変化と熱 → 「化学変化の特徴」(§B-1-3)

今までの実験から化学変化によって熱が発生する事を認識させ、熱を取り出す実験を行い、化学カイロなどの例を挙げ 化学 変化には熱の出入りが伴い、生活にも広く利用されていることを見いだして理解 すること。

(ウ)化学変化と物質の質量 → 「化学変化の特徴」(§B-1-3)

化学変化の前後における物質の質量を測定する実 験を行い,反応物の質量の総和と生成物の質量の総 和が等しい「質量の保存」を見いだして理解すること。

大極目標イ
化学変化に関係する物質の質量を測定する実験を行い,反応する物質の質量の割合は一定の関係があ ることを見いだして理解すること。

→ 化学変化について,見通しをもって解決する方法を立案して観察,実験などを行い,原子や分子と関連付けて、その結果を分析して解釈する力を養う。
→化学変化について,見通しをもって解決する方法を立 案して観察,実験などを行い,原子や分子と関連付けて その結果を分析して解釈し,化学変化における物質の 変化やその量的な関係を見いだして表現すること。

(ア)これまでに挙げた実験以外の実験計画を各グループで調べて、みんなで見通しと結果を立てて発表することができるように、大極目標 ア で立てたカリキュラムで補足を行う。

以上の観点から、以下に参考テキストを記しましょう。
 目次だけ示しますので、全体を閲覧する場合はファイルをダウンロードしてください。1つ目のpagesで作成した生データより、2つ目のpdfファイルのダウンロードがお勧めです。👉ファイルの訂正履歴を最後に記します。
(2021/1/14, 19:30;P8の画像不良改善ファイルに差し替え、陳謝します。)


目次
A. 物質の成り立ち
A-1 混合物と純粋な物質
A-2原子
A-2-1 原子
A-2-2 原子構造
A-2-3 元素記号
A-3原子の結合
A-3-1 固体では
A-3-2 分子
A-4 単体と化合物
A-5 物質の化学式
Coffee Break 1

B. 化学変化
B-1 分解と化合の化学変化
B-1-1 酸化銀の加熱実験
B-1-2 化学反応と化学反応式
B-1-3 過酸化水素水の分解
B-1-4 いろいろな分解
B-1-5 銅の加熱実験
B-1-6 化合
B-1-7 鉄と硫黄の化合実験
B-1-8 酸素と水素の化合実験(水の合成)
B-2  酸化と還元
B-2-1 燃焼
B-2-2 有機物の燃焼
B-2-3 酸化
B-2-4 還元
Coffee Break 2
Coffee Break 3
B-3 化学変化の特徴
B-3-1 発熱反応と吸熱反応
B-3-2 化学変化の質量変化
付録1 覚えておきたい化学反応式
付録2 例題

*****
訂正履歴(公開日 2021-01-14 13:24:51)
*****
2021-01-14 19:30
  •  § A-5と§Coffee Break1 のレイアウト不具合を訂正

2021-01-15 15:40
  • § A-2-3; (注) 「区別が」→「区別を」
  • § A-3-2; (注) 「(*2)」→「(*1)」
  • § A-4;「AL」→「Al」
  • § Coffee Break ;「§ Coffee Break」→「§ Coffee Break 1」
  • § B-1-3 ;「§ B-1-3 過酸化水素の分解」→「§ B-1-3 過酸化水素水の分解」
  • § B-1-2 ;point 部分のレイアウト改正
  • § B-1-8 ;図 B-1-8のレイアウト変更
  • § B-3-2;
「化学変化に置いて、燃焼のように外とはやりとりを行わなければ、初めに示した実験のように化学変化の前後では全体の質量は保たれたままになります。」
   →
「化学変化において、紹介した燃焼のように外の空気と化学変化を行わなければ、化学変化の前後では全体の質量は保たれたままになります。」